院長のコラム

循環器内科医としての「覚悟」と「責任感」

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私は医学生だった頃から心電図を読み解くのが大好きで、当時大学病院の循環器の先生が開いている心電図勉強会に毎週参加していました。その勉強会では毎回心電図が複数与えられて、それらの心電図の所見と診断を考えるという宿題が出ました。そしてその翌週の勉強会で宿題の答え合わせをするというものでした。先生は巨大なハリセンを持っていて、参加した学生が答えを大幅に間違えると、その巨大なハリセンで頭をたたかれるというとても刺激的な勉強会でした。今でも心電図を見ると時々ハリセンを思い出します。


医師になって心臓エコーや心臓CTなどの画像評価について学ぶと、さらに心臓という臓器の奥深さに取り憑かれることとなりました。また心筋梗塞や致死性不整脈など、救急の現場は循環器疾患と切っても切り離せず、颯爽と救急外来に現れて、みるみるうちにカテーテル治療で心筋梗塞を治して救命したり、電気ショックで不整脈を安定化させたりする循環器内科医への憧れも強くなっていきました。


医師3年目からの後期研修では循環器内科に進むことを決めて、心臓MRIという当時では新しい分野の勉強のために三重大学に国内留学させて頂いたり、狭心症・心筋梗塞に対するカテーテル手術や徐脈性不整脈に対するペースメーカー留置といった手技に没頭しました。しかし一方で、手技そのものの難易度の高さや手技に伴う合併症の重篤さに、責任の重さを感じると同時に日常生活では感じ得ない緊張感なども感じるようになりました。自分のカテーテルさばきが1mmずれたり、1g強かったりするだけで患者さんには大きな影響を及ぼしてしまうのですから当然といえば当然です。


医師4年目くらいから不整脈に対するカテーテルアブレーション治療両心室ペースメーカーの手術も担当させて貰えるようになり、この時点でかなり心臓治療に対する見方が変化していきました。


心臓の病気というのは、血管がつまることもあればそれによって不整脈が出ることもありますし、それによってペースメーカー埋め込み治療が必要になることもあります。つまりどれか一つの分野だけ分かっていても、根本的に心臓を理解していることにはならないのです。患者さんに良い医療を提供できる循環器内科医になるために、全ての分野に知識の面でも技術的にも精通することが大事なのではないかと思うに至りました。


それからは日々各分野の手技の修練を積み、医師11年目には各分野の循環器治療を一人立ちすることができました。治療に際しては、強い気持ちで1人で責任を全うすることを目標に掲げて診療に当たりました。自分しかいないという覚悟と患者さんに対する責任感が無ければ絶対に良い医療は出来ないと考えていたからです。1件2時間程度の高い集中力が必要な治療を1日に5件ほど行うこともあり、精神的にも体力的にも厳しいものでありましたが、この経験は循環器内科医としてだけではなく一人の人間として私を大きく成長させてくれたと思います。クリニック開業に伴い、こうした治療の最前線からは離れることとなりますが、この「覚悟」と「責任感」という言葉を大事にしてこれからも診療に臨みたいと思います。


日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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