循環器内科の病気

心不全を起こさないために大事なこと

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心不全とは何ですか?

心臓の動きが悪くなったり、心臓の弁に逆流や狭窄があったりする場合に、全身の血のめぐりが悪くなって息切れや体のむくみなど様々な症状を引き起こす病気です。


どのような原因がありますか?

高血圧や虚血性心疾患、不整脈、弁の狭窄や逆流、心筋症などが原因になります。


どのような検査がありますか? どのように診断しますか?

問診や身体所見から心不全が疑われた場合、レントゲンを撮って、心臓が大きくなったり胸に水が溜まったりしていないかを診ます。また採血でBNPという数値を測定し、高値ですと心不全の可能性があります。同時に心不全の原因も検索します。心電図を取り虚血性心疾患や不整脈などの可能性がないかチェックしていきます。また心臓エコーで、心臓の動きや形態、弁の逆流・狭窄の有無などをチェックしていきます。


どのように治療しますか?

急性期は利尿剤などのお薬を使い、体に溜まった余分な水分を外に出すような治療を行います。落ち着いてきたら再発を予防するようなお薬を追加します。

生活習慣も見直していく必要があります。塩分過多や飲水過多も心不全を引き起こしますので、そうした生活習慣も改める必要があります。日本人は平均12g程度の食塩の摂取量があると言われていますが、これを7g程度まで抑える必要があります。お漬物やラーメンの汁などのとりすぎには注意しましょう。

心不全の状態が良くないときは安静にしている方が良いですが、状態が良くなってきたときは適度な運動を心がけましょう。1日30分程度の有酸素運動が望ましいと言われています。

また、風邪や肺炎などの感染症をきっかけに心不全が悪化することもよくありますので、必要に応じてマスク・うがい・手洗いなどを心がけましょう。

お風呂に関しては、40℃のお湯に10分程度つかるのが良いとされています。温度調節をして熱すぎるお風呂に入るのは控えましょう。

心不全の根本的な原因に対する治療介入も必要です。高血圧が原因であれば、血圧を下げる必要があります。虚血性心疾患が原因であれば、場合によっては細くなった冠動脈に対するカテーテル治療が必要なことがあります。不整脈が原因の場合は、お薬や、カテーテルアブレーションというカテーテル治療が必要なことがあります。弁の狭窄や逆流が原因で、重症の場合は手術が必要になることがあります。心筋症の場合はほとんどの場合お薬で経過をみていくこととなります。上記が複合していることも多々ありますし、COPDなどの呼吸器疾患が合併している場合もあります。この辺の判断は、まさに循環器内科医の腕の見せ所ということになります。


心不全の兆候に早めに気付くには?

私がよく患者さんにお願いするのは「体重をできるだけ毎日測って記録してください」ということです。心不全になると体に余分な水が溜まってくることが多く、その場合特に食生活を変えていなくても体重が2-3kg増えます。放置していくと、ひどい場合は10-20kg増えていることがあります。体重測定をしっかりしていると心不全傾向に早めに気付いて早く治療介入することができます。

また心不全になると、横になると息がしづらくなるという現象があります。横になると体の血が一気に心臓に返ってきて血流がさらに滞ることで息苦しくなるのです。そのため心不全患者さんは知らず知らずのうちに枕を高くして寝ていることがあります。体を起こした状態の方が楽なので無意識のうちに上半身をできるだけ立てて呼吸しようとしてしまうのです。これを「起坐呼吸」と言います。このような兆候が見られる場合も早めに対処することが肝心です。

日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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