整形外科:新患制限に関するお知らせ

院長のコラム

テクノロジーが進んでも、人が担うべきもの

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久しぶりの更新になります。

最近、内科外来で診療していると、患者さんから「AIで調べたらこういう可能性があると出たので来ました」と言われる機会が増えました。私自身もAIに頼る場面が以前より確実に増えており、ふと「もしかすると近い将来、医師としての自分はAIに取って代わられるのではないか」という不安が頭をよぎります。かつては、人の痛みや不安はAIには到底理解できず、この部分だけは人間にしか担えないと考えていました。しかし、最近のAIは会話の質が格段に向上し、人間らしい反応を示すことすらあります。医療をより良くするためにAIを“使う”段階を通り越し、むしろ私たちがAIに行動を促されているような感覚に陥る瞬間さえあります。

先日、カテーテルアブレーションを共に行っていた同僚や上司と食事をした際、デバイスの革新によって古典的なカテーテル操作を習熟する機会が減り、かえって私たちがかつて身につけた技術が貴重なものになっている、という話題になりました。カテーテル手技は極めて繊細で、感覚に依存する部分も多く、簡単には代替されない領域です。技術が洗練されるほど、その根底にある人間の感覚的技能の価値が際立つ。その事実に、ある種の希望を感じました。

AIが日々進歩し、医学的判断の一部を担うようになっても、患者さんの不安の背景を読み取り、痛みの意味を解釈し、その人の文脈に合った選択肢を示す行為は依然として人間に残された仕事です。AIが“答え”を提示する時代だからこそ、医師はその答えに人間らしい解釈と方向性を与える役割を担うようになっていくのだと思います。

AIがどれほど進化しても、患者さんの抱える痛みや迷いに形を与えるのは結局のところ人間です。だからこそ、AIに置き換わる瞬間が来るその時まで、自分の知識と技術を磨き続け、目の前の患者さんのために尽くしていきたいと思います。

日吉かもめ内科・整形外科クリニック 院長 杉本 洋一郎

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