生活習慣病

心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす 脂質異常症

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◯脂質異常症とは何ですか?

血液中の脂質には何種類かありますが、そのうち健診などで良く測定される主なものにはLDL コレステロール、TG(トリグリセリド)、HDL コレステロール があります。 LDL や TG が高かったり、 HDL が低い場合、脂質異常症といいます。

◯3種類の脂質にはどのような違いがあるのですか?

まず LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、悪いコレステロールの代表格です。 LDL コレステロールが高い場合、動脈の壁にプラークというコレステロールからできた粥状の物質が形成されてしまい、これが狭心症や心筋梗塞、 脳梗塞の原因になります。TGは「中性脂肪」とも呼ばれ、 LDL コレステロールと同様に数値が高いと動脈にプラークを形成してしまいます。一方で HDL コレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれ、血液中から LDL コレステロールを除去する役割があります。そのためHDLコレステロール値が低い場合は狭心症や心筋梗塞のリスクが高くなると言われています。

◯脂質異常症にはどのようなタイプがありますか?

大まかに言って遺伝性のものとそうでないものがあります。遺伝性の脂質異常症の中には若いうちからコレステロール値が上がってしまい、比較的若年で心筋梗塞や脳梗塞など重篤な病気を引き起こしてしまうケースがあります。 LDLコレステロールのみ増加するもの や、TG のみ増加するもの、またLDLコレステロールと TG の両方が増加するもの等があります。遺伝性でないものの原因としては、過食、運動不足、アルコールの過剰摂取などが挙げられます。 また慢性腎臓病や糖尿病、甲状腺機能低下症などの病気によっても引き起こされることがあります。

◯脂質異常症の症状は何かありますか?

通常、合併症を引き起こすまで症状が出ることはあまりありません。ただし、LDLが高い場合、「腱黄色腫」と呼ばれるアキレス腱の肥厚や、「角膜輪」と呼ばれる黒目のふちに沿ったコレステロールの沈着が認められることがあります。家族性高コレステロール血症(FH)という遺伝性の脂質異常症の病気では、若いうちからLDLが高値となり、この黄色腫や角膜輪がよくみられます。

◯内服治療にはどのような薬がありますか?

LDL コレステロールだけが高い場合は主にスタチンというお薬を使用します。 LDLコレステロールと中性脂肪のどちらも高い場合はスタチンを使用するか、もしくはニコチン酸系やフィブラート系のお薬を使用します。中性脂肪のみが高い場合は EPA やω-3脂肪酸エチルという薬などを使用します。家族性高コレステロール血症の場合、PCSK9モノクローナル抗体という特殊なお薬を使う場合もあります。

◯脂質異常症を改善する食事にはどのようなものがありますか?

*高LDL-C血症:コレステロールと飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身、内臓、皮、乳製品、卵黄および、 トランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品の摂取を抑える。 食物繊維と植物ステロールを含む未精製穀類、大豆製品、海藻、野菜類の摂取を増やす。

 * 高TG血症 : 糖質を多く含む菓子類、飲料、穀類の摂取を減らす。  アルコールの摂取を控える。n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類(まぐろの脂身、さば、うなぎ、さけ)などの摂取を増やす。

 *低HDL-C血症: トランス脂肪酸の摂取を控える。 n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取を減らすために植物油の過剰摂取を控える。

◯中性脂肪が高いと言われます。お酒は焼酎なら飲んでよいですか?

お酒の種類よりも、アルコール度数と量が大事です。焼酎であっても中性脂肪を上げる原因になりますので、中性脂肪が高いと言われた場合は節酒もしくは禁酒する必要があるでしょう。ある論文では死亡リスクを高めない飲酒量は純アルコール量換算で週に100gまでと報告されています。1日に直すと15g程度ということになりますから、アルコール度数5%のビールであれば350ml1本程度ということになります。

日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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