検査の異常

血液の成分の異常

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健診などで採血検査をした時にほぼ必ず測る項目の一つに「血算」があります。「血算」とは「全血球計算」の略で、血液中の細胞である赤血球、白血球、血小板 の数や大きさや濃度の測定を行います。また「血液分画」という検査で血球をさらに詳しく調べることもあります。これらの項目においてどういった異常があれば詳しい検査が必要なのか各血球ごとに解説していきます。

①赤血球

多い場合:ほとんどが喫煙や脱水によるものです。 一方でヘマトクリット値が男性で60%以上女性で55%以上の上昇がある時、白血球や血小板などのその他の血球系の上昇もある場合は、骨髄増殖性腫瘍の可能性も考えられるため詳しい検査が必要になります。

少ない場合:いわゆる貧血という状態です。貧血がある場合はまずその他の血球系に異常があるかどうかを見ます。白血球や血小板にも異常がある場合は骨髄の病気の可能性もありますので精査が必要になります。その他の血球系に問題がない場合は網赤血球という数値をみます。網赤血球というのは若い赤血球で、赤血球が壊されると、もっとたくさん赤血球を作ろうとしてこの若い赤血球が増えます。網赤血球が増えているということは赤血球が破壊されているということになりますので、赤血球が壊されてしまうような溶血性の病気を調べていくこととなります。網赤血球に問題がない場合は赤血球の大きさを見ます。小さい場合、鉄が不足していることが最も多いです。鉄不足の原因としては月経によるものや、消化管からの出血などが考えられます。大きさが正常の場合は溶血によるものや骨髄の病気、慢性炎症や悪性腫瘍などが考えられます。大きさが大きい場合はアルコール多飲によるもの、ビタミンB12・葉酸欠乏によるもの、甲状腺機能低下症などが考えられます。

②白血球

多い場合:感染症をはじめとして様々な疾患で上昇することがあります。骨髄増殖性腫瘍の可能性を疑うのは 、白血球の中でも「芽球」という若い白血球の細胞が出ていたり、赤血球や血小板の数にも異常がある時、白血球数5万以上など著明高値の時などです。

少ない場合:急性経過ならウイルス感染症に伴うものの可能性が最も高いです。慢性経過であれば、お薬の影響などないか考えます。芽球が出現している時や、赤血球や血小板の数にも異常があるとき、白血球数1000以下など著明低値の場合は骨髄の病気の可能性を疑います。

③血小板

多い場合:血小板数が上昇していても100万以下の場合は、鉄欠乏や感染症、慢性炎症性疾患などの関与を考えます。特に血小板増多を来す原因が見つからないときや、芽球が出現するとき、赤血球や白血球の数にも異常があるとき、血小板数が100万を超えるような著明な増加がある時は骨髄増殖性腫瘍の可能性がありますので精査が必要です。

少ない場合:血小板数が2万以下で出血傾向があるとき、貧血や白血球減少も同時に認めたときは重篤な疾患の可能性が高く、緊急で対応が必要となりますので注意が必要です。慢性的に10万以下である場合は薬剤性、突発性血小板減少性紫斑病、肝臓疾患、偽性血小板減少症などを考慮します。

日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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