院長のコラム

「第二のペニシリン」と呼ばれる薬

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皆さんは第二のペニシリンとも呼ばれる薬をご存知でしょうか?
それは『スタチン』です。


このスタチン、脂質異常症で服用されている方も多いのではないかと思います。実はスタチンを発見したのは日本人の方で、この発見によりノーベル賞に近いとされる国際的な賞を受賞されており、全世界で最も売れている薬の発見者として今後ノーベル賞を受賞されることも期待されています。幼少期からカビやキノコに興味があり、製薬会社社員であった1973年に米の青カビから得られたスタチンの原型となる物質にコレステロール値を下げる効果があることを発見したということです。ペニシリンも青カビから生成される物質がもともとの由来であり、スタチンが第二のペニシリンと呼ばれるのはこのためです。


スタチンは、なぜ全世界でこれ程までに支持されるお薬となったのでしょうか?それは圧倒的なLDLコレステロールの降下作用です。食事療法だけでLDLが低下するのは、多くの場合せいぜい5-10mg/dL程度です。これに対して(ストロング)スタチンを服用すると30%程度、すなわち投与前LDLコレステロールが180mg/dLの方であれば120-130mg/dL程度まで下がることが期待されます。LDLコレステロールは、別名「悪玉コレステロール」と呼ばれ、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす原因となります。スタチンでしっかりとLDLコレステロールを下げることがこうした疾患の予防にとても重要と考えられています。


このように非常に有効な薬であるスタチンですが、副作用として筋肉痛を訴える患者さんがいらっしゃいます。この筋肉痛についての論文*が2022年8月、最も評価の高い医学雑誌の一つLancet誌に掲載されました。その論文によれば、スタチン治療は偽薬を投与するプラセボ群と比較して軽い筋肉痛が若干増加したものの、スタチン治療を受けた患者で報告された筋肉痛の90%以上はスタチンによるものではなく、そのリスクは心血管疾患に対する利益に比べればはるかに小さいことを示したとのことです。すなわちスタチンを服用後に軽い筋肉痛があったとしても、メリット・デメリットを天秤にかけると服用を続けるメリットの方が大きいのではないかという結論です。過度に副作用に怯えることなく適切にお薬を服用することが大切ということですね。副作用に関しては対処法もありますので、そのような際はご遠慮なくご相談下さい。


*Lancet (London, England). 2022 09 10;400(10355);832-845. pii: S0140-6736(22)01545-8.

日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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