一般内科の病気

その喉の痛みは本当にコロナで良いの? 扁桃炎

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A.症状

扁桃が腫れて喉の違和感を感じるようになります。次第に喉の痛みが強くなり、物を飲み込む時に喉が痛んだりするようになります。また熱が出たり、体がだるくなったりするなどの全身症状が出ることもあります。新型コロナウイルス感染症でものどの痛みを訴えることが多いですが、細菌性扁桃炎の場合は抗生剤での治療が必要であるため注意が必要です。


B.原因・合併症など

1.原因

 主な原因は細菌(溶連菌・ブドウ球菌・インフルエンザ菌・肺炎球菌)やウイルス(EBウイルス、単純ヘルペスウイルス)への感染です。特に疲れや寝不足などで体力が低下している場合に起こりやすいです。細菌感染の一つである溶連菌感染を原因として発症することが多く、その場合には腎臓や心臓の合併症のリスクも考慮してしっかりと治療をする必要があります。

2.合併症

2.1 溶連菌感染症

溶連菌感染症に伴って起きる合併症としては、①急性糸球体腎炎と②急性リウマチ熱があります。

①急性糸球体腎炎は感染後2~4週間で発生します。 尿が減って黒っぽい尿が出ます(血尿)。また蛋白尿が出て、タンパクが体から失われるため、まぶたが腫れたり足がむくんだりしてきます。血圧が高くなることもあり、入院して安静・水分塩分制限が必要になります。

②急性リウマチ熱は感染後2~4週間経って心臓や関節などに炎症が起こると言われています。 抗生剤による治療が普及した現在ではほとんど発症することがなくなっています。

2.2伝線性単核球症 (EBウィルスによる感染症)

ウイルスによる感染症の一つである EB ウィルスによっても扁桃炎が起こります。この感染症は「伝染性単核球症」と言われ唾液を介して感染します。全身のリンパ節が腫れたり肝臓や脾臓などが腫れたりします。 多くの方は小さい頃に知らないうちにこのEBウイルスに感染して抗体を持っていますが、思春期以降に初めて感染した方は高熱や咽頭痛などの症状が出やすくなります。


C.診断

喉の診察で診断します。扁桃が赤く腫れていたり膿の塊が見られることや、全身の症状などが診断の参考になります。似たような疾患の鑑別のため、溶連菌迅速キットを用いたり採血検査を施行する場合もあります。


D.治療

 ウイルス性の扁桃炎の場合には対症療法が基本です。細菌性の扁桃炎(溶連菌など)の場合には抗生剤で治療するのが基本になります。前述の通り、続発症を起こさないようにするため決められた期間の抗生剤の内服が大事です。 年に何度も扁桃炎を発症してしまう場合は扁桃摘出術という手術の適応になります。 手術は全身麻酔下で行い1時間前後で終了します。

溶連菌感染症は学校においては出席停止の病気です。内服開始後1~2日すれば人には感染しないので子供が元気であれば登校しても良いでしょう。会社も同様です。お家の方は子供が溶連菌と診断されたらマスクをして飛沫を防ぎ、タオルや食器を共有しないようにして、手洗いうがいを徹底しましょう。感染から3~4週間後に腎炎の合併の有無を調べるための尿検査をします。

伝染性単核球症では脾臓が腫れるため、その状態で腹部に外傷を受けると脾臓が破裂してしまうことがあります。そのため罹患した場合はコンタクトスポーツなどを避けることが重要です。


日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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