一般内科の病気

女性に多い甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

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◯バセドウ病とはどんな病気ですか?

バセドウ病は甲状腺ホルモンであるT3やT4が過剰に作られることにより甲状腺機能亢進の症状を呈する病気です。 過剰なホルモンにより新陳代謝が加速されて、体重が減ったり脈が速くなったりと様々な症状がでます。女性に多い疾患で、女性の患者が男性の患者より5倍多いと言われています。

◯バセドウ病は何が原因ですか?

バセドウ病は甲状腺を刺激するTSH受容体抗体という自己抗体が作られ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。 この自己抗体が作られる原因はよくわかっていません。

◯どのような症状が出ますか?

甲状腺ホルモンは全身に作用しますので、その量が過剰になると次のような様々な症状がでます。体重減少、頻脈 、不整脈 、食欲亢進、頻繁な排便、手の震え、発汗、 月経不順、 疲労感、血圧上昇、脱毛、 眼球突出など。

◯どのような検査をしますか?

採血にて甲状腺ホルモンやTSHレセプター抗体の値を測ります。また甲状腺エコーを行い、甲状腺の大きさや血流などを見ます。

◯急いで治療が必要な場合はどのような場合ですか?

次のようなケースでは命に関わることもあるので、急いで治療が必要です。

①脈の早い不整脈が出ている場合

②息切れや足のむくみなどの心不全症状

③発熱・下痢の程度がひどい場合

④感染症や重症の糖尿病がある場合

◯どのような治療が必要ですか?

緊急を要する場合は、抗甲状腺薬やヨード剤の他、頻脈や心不全がある際はそちらに対する治療も必要です。対応を誤ると命の危険もありますので、入院して治療した方が良いと考えられます。

通常はまず抗甲状腺薬による治療を開始します。代表的な薬であるチアマゾールでは無顆粒球症という重篤な副作用も稀にありますので、慎重に経過をみていきます。チアマゾール内服開始後に38度の高熱が出たり、のどの痛みが出たりする場合はただちに休薬することが大切です。

副作用で上記薬剤が使えない時や、通常治療で改善が得られない際にはアイソトープ治療や手術療法があります。アイソトープ治療とは、放射性同位元素をカプセルで経口投与して甲状腺に集積させ、甲状腺そのものを破壊して小さくする治療です。手術療法では甲状腺そのものを摘出します。アイソトープ治療では約半数の方が、手術療法では全例で甲状腺ホルモンを終生内服する必要があります。

◯バセドウ病と診断されたら日常生活はどのようなことに気を付ければよいですか?

ストレスがあるとバセドウ病が悪化することがありますので、日頃からストレスをためないよう注意が必要です。また花粉症があると悪化することがありますので、花粉症の時期はアレルギーを抑える薬の内服をしておいた方が良いでしょう。

◯妊娠を予定しています。どうすれば良いでしょうか?

チアマゾールを妊娠初期に内服していた方の子供に先天異常が出たという報告がありますので、プロピルチオウラシルという別のお薬への変更が望ましいです。バセドウ病の患者さんは、妊娠を予定される際は必ず主治医に相談するようにしましょう。


日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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