体の変調

2025年には700万人が認知症に!

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◯認知症は、脳の病気など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます

日本における65歳以上の認知症の人の数は現在600万人を超えていると言われています。2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されており、ますます対策が重要になってきています。


◯どのような症状ですか?

認知症の症状は、中核症状と、行動・心理症状の2つに大別できます。

1.中核症状

中核症状には次の5つの症状があります。

①記憶障害:物忘れがひどくなり、新しいことが覚えられなくなる

②失語:言葉を理解したり発したりすることが難しくなる

③見当識障害:時間や場所がわからなくなる

④判断力障害:困ったことがあっても適切に判断・対処できなくなる

⑤実行機能障害:物事を順序良く行えなくなる

2.行動・心理症状

行動・心理症状には、次の6つの症状があります。

①不安、一人になると怖がったり寂しがったりする

②憂うつでふさぎこむ、趣味や好きだったことに興味を示さなくなる

③怒りっぽくなる

④誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)

⑤自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)

⑥目的を持って外出しても途中で忘れてしまい帰れなくなってしまう


◯どのようなタイプの認知症がありますか?

認知症には次の5つのタイプがあります。

  1. アルツハイマー病:認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程で起きる認知症です。
  2. 脳血管性認知症:脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起きる認知症です。
  3. レビー小体型認知症:幻視や、パーキンソン病のような手足の震え・歩行障害などを伴う認知症です。
  4. 前頭側頭葉変性症:スムーズに言葉が出てこない、指示の意味がわからなくなる、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれる認知症です。
  5. その他:甲状腺機能低下症慢性硬膜下血腫正常圧水頭症うつ病などでも認知症の症状を呈することがあります。

◯加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れにはどのような違いがありますか?

経験の一部を忘れるのは加齢によるもの忘れの範囲内ですが、経験を全体的に忘れるのは認知症のサインかもしれません。また日常生活へ支障が出るような物忘れや症状がどんどん進行していく場合も病的な認知症による物忘れの可能性があります。


◯認知症の治療法にはどのようなものがありますか?

1.中核症状への治療

アルツハイマー型認知症の中核症状に対しては、いくつか有効な薬があり、若干の改善を期待できます。ただし、当然薬には副作用がありますので、重度に進行してあまり改善が望めない場合はこうしたお薬を中止することも必要です。

2.行動・心理症状への治療

こちらに対してもいくつか有効な薬があります。また、どのようなことであってもまずは話を良く聞いてあげて安心させ、決して責めないことが大事です。しかし現実的に家族の介護負担が増大した場合、このような一貫した対応が出来ないこともあるでしょう。こうした場合は介護する家族が孤立しないようにすることも大事です。具体的には介護保険を確認し、ケアマネージャーとともにプランを作成し、デイサービスやショートステイなどの社会資源を利用していくことが望ましいでしょう。


将来への期待

アルツハイマー型認知症の原因は、現時点では、脳内にアミロイドβという蛋白質が蓄積して、それが神経細胞の変性に関係するという説が有力と考えられています。そこで、アミロイドβを蓄積させないようにする薬の開発が進んでいますが、実際の効果などはまだまだ疑問視されている面もあるようです。多くの患者さん、家族が悩まれている認知症の治療法については、これからに期待したいところです。


日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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